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軒の深い平屋が人気な理由とは?メリットと注意すべき点を解説

2024/12/20(金) 家づくりのこと

contents

1. 軒の深い平屋とは

 1-1 軒の深さの定義について

2. 軒が深い平屋の魅力

 2-1 太陽光を適度に遮ることができる

 2-2 冬のひだまり効果

 2-3 家庭の冷暖房費削減

 2-4 雨風をしのぎ外壁劣化を防ぐ

 2-5 プライバシーの保護と景観

 2-6 優れたデザイン性

3. 軒の深い平屋が向いている条件

 3-1 地域特性や気候風土

 3-2 日当たり・通風などの立地条件

 3-3 居住スペースと土地の広さ

4. 軒の深い平屋の注意点

 4-1 暗くならないか

 4-2 建築費用が高くならないか

5. Eavesの特徴と選ばれる理由

 5-1 パッシブデザインの取り入れ方

 5-2 夏と冬の快適性

 5-3 軒の出 90㎝の利点

6. まとめ

 6-1 軒の深い平屋の総合評価

 6-2 建築を検討する際のポイント

 

軒の深い平屋とは

「軒の深い平屋」という言葉を聞いて、どこか懐かしい、そして落ち着いた暮らしがイメージされるかもしれません。「軒の深い平屋」は、見た目が好きな方も多いですが、実用的でもあります。

まず、深い軒の最大の特徴は、雨や日差しから建物を守る性能です。 特に日本のように四季があり、夏の強い日差しや梅雨の長雨にさらされる環境では、軒の深さが建物の耐久性や快適性に大きく影響します。軒がしっかりと出ていると、外壁や窓が雨風にさらされる時間が減り、メンテナンスの負担も軽減されます。

また、夏には軒が日差しを遮ることで、室内が暑くならないように出来ます。そのため、窓から自然光がしっかり入る設計が可能です。 

 軒下にできる日や陰縁側のようなスペースは、家族や友人が気軽に集える場所にもなります。

軒の深さの定義について

軒の深さは、どこからどこまででしょうか?弊社は屋根の先から壁の中心までで考えています。建築基準法の考え方と合わしています。軒ゼロに見える家でもここでいう軒を90cm出すことは、可能です。私の家もそうです。

軒が深い平屋の魅力

軒が深い平屋は、軒下までお家の一部のように感じます。お庭があれば、木を近くに感じられ地面との距離も近いのでより四季を感じられ居心地の良い空間になりやすいです。またウッドデッキやタイルデッキをつければ、屋根のある安心感のある外の空間が出来上がります。プールやバーベキューなど暮らし方が広がります。

太陽光を適度に遮ることができる

夏の太陽高度は高いです。夏至は80°ほど、真上にあると思えば分かりやすいです。そして北東から登り、正午に南、夕方に北西に沈む動きをします。小学校で習いますが、なかなか覚えてませんよね。南側の軒を90cmほど出すことで、真夏の太陽の直射光を遮ることが出来ます。

冬のひだまり効果

冬は太陽高度が低いです。冬至で30°ほど、真横に太陽があると思えば、分かりやすいです。軒が出ていても日影にならずお家の中を温めてくれるんです。

家庭の冷暖房費削減

軒がどのように家庭の冷暖房費を削減できるのでしょうか。

太陽光が室温にどうして影響を与えるかをご説明させていただきます。

必ずしも、明るい=暑いではありません。太陽光の直射光に多く含まれる電磁波が、物体を震わせ、その振動が熱エネルギーに変わり、暑くなる。この原則から考えて、軒が日本の気候に合っているという、理由です。軒や庇は上手くつければ、直射光を夏だけ遮ってくれるのです。熱エネルギーが掃き出し窓一つにつき、600KW/h程度のなり、およそコタツ一台分となります。夏、窓の位置に、コタツを置くと、想像するだけで暑いです。冬は、暖かそうです。

夏は、軒でコタツ何台分か、部屋が暑くなるのを防止し、冬は逆に取り入れてあげる。これが軒が冷暖房費の削減につながるという理由です。

雨風をしのぎ外壁劣化を防ぐ

雨風をしのぎ外壁劣化を防ぐ、この役割も軒は果たしてくれます。軒があることで外壁が濡れません。雨風はもちろんですが、冬の放射冷却による霜が付きにくくなる事にもひと役、買います。少し難しいですが、カーポートの下の車は、冬、窓ガラスなどに霜が降りませんよね。屋根があることでそういった効果があります。軒下の外壁も軒があることで、霜が降りにくくなります。霜が降りると、冬は真北側は、日が当たりませんので、乾かず、苔が生えてくることがあります。塗り壁や木や、サイディングの材料は、意識すると少しでも長くきれいな状態を保てます。ただし、ガルバニウム鋼板は水気に強い事と、空気中の塩分等、腐食の原因となる成分を洗い流した方が長持ちするので、ガルバニウム鋼板の場合は軒が無くても問題ありません。

プライバシーの保護と景観

2m以上程の深い軒はプライバシーの保護に役だちます。直射光が入らなくなるので、家の中が見えにくくなります。ただ、カーテンをしなくても気にならないレベルにはなりません。他のメリットデメリットを考えて、カスケホームは深すぎる軒は勧めていません。景観はお嫌いな方もいらっしゃるかもしれませんが、理に適った素直なデザインはいつまでも残ると思います。

 2-6 優れたデザイン性

アートではなく、住宅のデザインはバランスが大事です。軒を出すことで平屋は、バランスを取りやすくなります。バランスは見た目だけでなく、強度、性能、見た目、費用も兼ね備えてないと、バランスが良いなとは思いません。軒を出すことで、物凄く費用が掛かるのであれば、バランスが悪いのでやめた方が良いと思いますが、そこまでかかりませんので、軒を作ることは、優れたデザインだと考えます。

軒の深い平屋が向いている条件

自然の力を上手に活かした住まいが魅力の「Eaves」。その設計には、パッシブデザインの考え方が深く浸透しています。特に軒の深さを工夫することで、四季を通じて快適な住環境を提供しています。

夏には深い軒が日光を遮り、室内の温度を涼しく眺めます。 屋外の冬は、低い位置から差し込む太陽光を効果的に室内に取り込み、自然な暖かさをもたらします。配置や適度にもきちんとした配慮を行い、風通しを良くしながら室内全体に明るい光を届ける工夫がされています。

今後パッシブデザインの採用によって、光や、季節の移ろいを心地よく感じられる「Eaves」は、家族が一年中快適に過ごす住まいとして理想的な選択肢です。

地域特性や気候風土

庇や軒は、ほとんどの地域で、南側は出した方が良いです。ただし、台風などで風にあおられ軒が心配であれば、出さなくても良いと思います。でも、沖縄は台風が多いですが、伝統的な建物にはアマハジと呼ばれる深い軒のスペースがあります。素敵な空間で私は好きです。考えるとなかなか地域で軒なんか無い方が良いと言い切れるところは無いです。と思っていましたが、私は学生時代北海道に住んでいました。20年以上前なのですっかり忘れていましたが、北海道の家にはほとんど、軒がありません。北海道は独自の屋根形状です。ルールがあり、雪が屋根から落ちることを見越し、敷地の境界線から屋根の先までを2m以上開けなさいとなっています。そう言ったこともあり、屋根が建物の中央に向かって流れ、建物中央部に樋がついているという独自の屋根形状の家も多くたっています。軒を出すと土地が本土より一回り小さくなってしまうんですね。北海道でも夏の日差しは暑いと感じる日が多くあるので、軒や庇があっても良いのですが、雪の事情があれば、出さない方が賢明なのかなと思います。

日当たり・通風などの立地条件

日当たり・通風などの立地も考慮しましょう。狭い敷地で建物を建てると、軒が出せない。出せるけどギリギリで、外壁に日が当たらなくなってしまう。この場合は軒は出さない方が良いです。外壁に全く日が当たらないと苔などが生えやすくなってしまいます。なるべく工夫してギリギリにならないように工夫してどうしてもだめなら、軒無しでガルバニウム鋼板などの材料を検討しましょう。

居住スペースと土地の広さ

軒は出したいけど、出すと、敷地をはみ出てしまう。都会などの狭小地で良くあります。岡山でも間口が5m~6mの土地もありますね。

それでも工夫して出そうとは思いますが、住むための家造りですので、住むために必要な居住スペース確保の為であれば、居住スペースを優先しましょう。

平屋が無理なら2階建ても検討しましょう。

軒の深い平屋の注意点

平屋は、土地の面積が2階建てや3階建てに比べて大きく必要になるケースが多いです。30坪の総2階建ての家なら建て坪は15坪です。

30坪の平屋建てなら、建坪は30坪必要です。建蔽率60%であれば、50坪最低でも必要です。そこにお庭と車となると厳しいので70坪以上は無いとのびのびとは暮らせそうにないです。あくまで坪数だけですので、暮らし方によって変わります。30坪の平屋は大きいです。15~30坪程度の平屋が、多いと思います。

暗くならないか

軒については直射光を遮りますので、暗くはなります。90cm程度であれば、さほど問題ないと思います。夏の正午は少し暗い方が涼しげで良いと私は思います。

平屋については、年中暗くなる場合がございますので検討が必要です。例えば南側に2階建て以上の建物が建っていて、建物との距離が取れない場合は、2階建てにして、2階部分から日を取り入れ、吹抜を通して1階の明るさを確保をお勧めさせていただく事もございます。

建築費用が高くならないか

平屋は、同じ大きさですと、総2階の2階建てよりは、費用が掛かります。極端に小さな家だと、逆転するとは思います。軒の出も費用に影響はしますが、大きくは変わりません。

平屋を建てるのであれば予算は、少し注意が必要です。基礎と屋根の面積が増えるので、材料や手間賃ともにどうしても上がってしまいますのでご注意ください。

Eavesの特徴と選ばれる理由

「カスケの家」が提供する軒を出す90cmの規格住宅「Eaves」は、家族が快適に暮らせる設計が魅力です。深い軒が夏の日差しをしっかり遮り、冬には低い位置から太陽の光を室内に取り込むことで、季節を感じながら快適な室内環境を実現します。

自然の力を上手に活かしたこの住まいは、光熱費を押さえるだけでなく、環境にも配慮した設計となっています。 暮らしやすさとエコを両立した「Eaves」は、家族のための理想の住宅です。

パッシブデザインの取り入れ方

パッシブデザインとは、自然の力を利用して快適な住環境をつくる設計手法のことです。太陽光、風、地熱などの自然のエネルギーを最大限に活用することで、エネルギー消費を抑えながら快適な暮らしを実現します。カスケホームのパッシブ設計は太陽光を利用した設計です。

夏と冬の快適性

Eavesの設計は、夏と冬の快適性を考慮したパッシブデザインが特徴です。夏には軒の深さによって直射日光を遮ることができ、室内は涼しさを保ちます。この効果により、エアコンの使用頻度を減らし、電気代の節約にもつながります。

一方、冬は南側からのひだまりを最大限に取り入れることが可能です。大きな窓から差し込む日差しが室内を暖かくし、心地よい空間を実現します。このように、Eavesは年間を通して快適な住環境を提供する、非常に機能的な平屋住宅です。

軒の出 90㎝の利点

軒の出が90cmの魅力は、季節を問わず快適な住環境を実現できる点にあります。夏には、深い軒が直射日光を遮ることで室内温度の上昇を防ぎ、涼しく過ごせる環境を作ります。その結果、エアコンの稼働を減らし、省エネにもつながります。

一方で冬は、低い角度から差し込む日差しを効率的に取り込む設計となっており、室内に暖かなひだまりを生み出します。この自然の力を活かした工夫により、暖房器具に頼る時間を減らすことが可能です。

軒の出の90cmは、機能性と心地よさを兼ね備えた設計で、1年を通じて家族が快適に暮らせる空間を提供します。住む人にとって安心でエコな選択となる点が、このデザインの大きな魅力です。

ほとんどの家で南側に90cmの軒を出す事で、窓から差し込む太陽光を、夏は遮り、冬は取り入れることが出来ます。構造的にも無理のない長さでちょうど良いです。庇でも良いですよ。

まとめ

軒の深い平屋は、快適な住環境と省エネ効果を兼ね備えた魅力的な住まいです。夏には深い軒が強い日差しを遮ることで、室内を涼しく保ち、冬には低い位置から差し込む太陽光をしっかり取り入れて自然な暖かさを得られます。こうした工夫により、一年を通じて快適な暮らしを実現できるのが大きなメリットです。

ただし、軒の深さが建物のデザインに与える影響や、施工費用の増加といった課題も考慮する必要があります。軒を深くすることで全体の外観バランスが変わる場合や、構造的な補強が必要になるケースもあります。そのため、計画段階でライフスタイルや家族構成、予算などをじっくり見直し、自分たちの価値観に合った設計を選ぶことが大切です。

軒の深い平屋は、ただのデザイン選択ではなく、暮らしを豊かにするための工夫が詰まった住まいです。これから家づくりを考える際には、そのメリットやデメリットをしっかりと理解したうえで、自分たちにとって最適な選択を見つけていただければと思います。

軒の深い平屋の総合評価

軒の深い平屋は、快適な暮らしと環境への配慮を両立できる、非常に魅力的な住まいの形です。特にパッシブデザインの考え方を取り入れることで、季節に応じた自然の力を最大限に活かし、夏は日差しを遮って涼しく、冬は太陽光を取り込んで暖かく過ごせる設計が可能です。

また、深い軒が作り出す広々とした軒下空間は、機能性と生活の楽しさをより高めます。雨の日でも外で遊んだり、ちょっとした作業やくつろぎの時間を楽しむことができます。家族や友人が集う場所としてもぴったりで、暮らしにゆとりと豊かさを加えてくれるでしょう。

とはいえ、軒の深い平屋には設計上のルールや施工費用の増加といった課題も伴います。そのため、建築計画の段階で予算やライフスタイルを考慮しながら、慎重に検討することが大切です。

軒の深い平屋は、シンプルながらも多機能で、暮らしに寄り添った設計が可能な住まいです。自然と調和した快適な生活を目指す方にとって、ぜひおすすめしたい選択肢です。

建築を検討する際のポイント

軒の深い平屋を計画する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。これらをしっかりと考慮することで、快適で理想的な住まいを実現できます。

まず、建物の向きや周囲の環境をよく考えることが必要です。どの方向から日差しが差し込むのかといった自然条件は、室内の快適さやエネルギー効率に大きく影響します。特に軒の深さを活かすためには、太陽の動きに合わせた設計が重要です。

次に、家族のライフスタイルに合った間取りの計画が欠かせません。動線を整理し、生活の中心となるスペースを明確にすることで、日々の暮らしがより快適になります。例えば、リビングやダイニングを南側に配置して明るく暖かな空間を作ったり、軒下スペースを活用してアウトドアリビングを楽しむのも一案です。

そして、信頼できる工務店を選ぶことも成功の鍵です。構造計画、断熱性能、使い勝手、デザインや費用全て大切です。優先順位は施工店によって違いますので、専門家と一緒に進めることで安心感が得られるでしょう。

軒の深い平屋は、自然と調和した暮らしや家族に寄り添った空間づくりが可能な魅力的な住まいです。これらのポイントを参考に、しっかりと計画を立てて、理想の住まいを実現してください。

平屋は何度か書かせていただいてますが、南側に背の高い建物があると、冬に日が当たらない家になる可能性がございます。なかなか、南側から存分に日当たりを見込める土地は少ないですが、ある程度、シュミレーションをすれば日が当たる時間を予測できます。「日影図」というものを書いて、日が当たってほしいお部屋に日が当たるように、狙う事は出来ますので、ご不安な場合は「日影図」を書いてくれる工務店様をお勧めします。

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