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岡山における地盤改良費用の相場と注意点

公開日:2025/04/20(日) 更新日:2025/04/21(月) 家づくりのこと

↑柱状改良用の重機

↑砕石杭用の重機

↑鋼管杭用の重機

contents

1. 地盤改良とは何か

2.  地盤改良の必要性

3. 主な地盤改良工法とその特徴

 3-1 表層改良工法

 3-2 柱状改良工法

 3-3 鋼管杭工法

    3-4   砕石杭工法

4. 地盤改良費用の相場

 4-1 工法別の費用相場

 4-2 住宅の敷地面積と費用の関係性

5. 岡山における地盤改良事例

6. 地盤改良の費用を抑える方法

 6-1 相見積もりの取得

 6-2 予算の見直しと計画

 6-3 補助金・助成金の活用

7. 地盤改良に関するトラブル回避方法

 7-1 見積書の確認ポイント

 7-2 施工不良の兆候と対応策

8. 地盤改良費用を予算計画に含める重要性

 8-1 無駄を減らす予算計画

9. まとめ

 

地盤改良とは何か

地盤改良とは、住宅や建物の基礎を支える土壌を、構造物が安全に建てられるように改良・強化する作業のことです。建物を建てるためには、その土地の地盤が十分な強度を持っていることが不可欠です。しかし、すべての土地が最適な地盤を持っているわけではありません。特に、軟弱な地盤や湿地、埋立地などでは、地盤改良を行うことで建物の安定性を確保する必要があります。

地盤改良は、家の耐震性や耐久性を向上させるために重要な工程です。適切な改良が施されていない場合、沈下やひび割れ、さらには倒壊などの危険を招く可能性があります。これらのリスクを避けるためにも、地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良工事を実施することが求められます。

 

地盤改良の必要性

地盤改良が必要となる理由は、建物が安定して長期間使用できるようにするためです。特に、地盤が弱い場所や、構造物の重量に耐えられない地盤では、地盤改良は不可欠な工程となります。

以下のような状況で地盤改良が特に重要となります:

  1. 軟弱な地盤や粘土質の地盤:これらの地盤は水分を多く含み、建物の重量を支える強度が不足していることがあります。特に大雨や地震などの外的要因で沈下や歪みが発生しやすくなります。

  2. 地震時の安定性確保:地震の際、建物が傾いたり倒壊したりする原因の一つは、地盤の強度不足です。地盤改良を行うことで、地震時の揺れに対する耐性が高まり、建物が安全に保たれるようになります。

  3. 沈下対策:地盤が不安定だと、時間の経過とともに建物が沈下していく可能性があります。これにより、建物にひび割れが生じたり、ドアや窓がきちんと閉まらなくなるなどのトラブルが発生します。地盤改良を行うことで、これらの問題を防ぐことができます。

  4. 将来的な安定性の確保:地盤改良は、今後建物を長期間安全に使用するためにも必要です。地盤の状態が適切でないと、将来的に構造的な問題を引き起こす可能性があり、リフォームや補修費用が増加することも考えられます。

これらの理由から、地盤改良は新築住宅や商業施設を建設する際に非常に重要なプロセスとなります。地盤の状態を確認し、適切な改良方法を選ぶことが、建物の安全性を高めるために欠かせません。

主な地盤改良工法とその特徴

地盤改良工法は、松の木で昔はやっている時代もありました。ここでご紹介するのは現在住宅で多く採用されている工法の総称です。

細かな工法はたくさんあります。例えば柱状改良工法と言っても、タイガーパイル工法と言って、コンクリートの真ん中に鋼管の芯が入ったものもあります。

他にも、どの分類かは省略しますが、ジオクロス工法、ハイスピード工法、和工法、コマ杭、MS基礎、などたくさんあります。すべては私も知りません。どれも、ある条件下で設計地耐力を満たせると、認定された工法になっています。ジオクロス工法は、面白いです。魔法のじゅうたんのようなイメージです。家の下に特殊なシートを敷いてその上に建物を建てるという工法です。採用はしたことはありませんが、こんなのでも大丈夫なんだと思いました。MS基礎も考え方は面白いですよ。言葉ではご紹介できないので、ご興味ある方は調べてみてください。価格が高いのでこちらも採用したことはありません。工務店や改良工事業者により細かな工法は違いますが、大まかには下の4種に分類される工法を採用している会社が多いと思います。

表層改良工法

表層改良工法は、地盤の上層部を強化する方法です。この工法では、地盤の表層に改良材(例えば、セメントや石灰)を混ぜて固めます。主に浅い地盤に効果的で、強度が不足している地層を安定させるために使用されます。

特徴

  • 改良範囲が浅いため、比較的工期が短く、費用も抑えめである。

  • 軟弱な表層地盤に有効。

  • 建物が軽量な場合や、地盤沈下のリスクが比較的小さい場合に適している。

  • 改良後の地盤が短期間で安定するため、急いで施工を進めたい場合に便利。

ただし、深層にある軟弱な地盤には対応できないため、場合によっては他の工法との併用が必要となります。

柱状改良工法

柱状改良工法では、地盤に垂直にコンクリート柱を打設する方法です。この工法は、地盤の強度が不足している場所や、深層に軟弱な層が存在する場合に使用されます。オーガードリルで地面に穴をあけセメントと水と現場の土を混ぜ柱状に杭を造ります。混ざって固まるので摩擦力が期待でき、それを利用して建物が沈下しないように保ちます。深層混合改良工法とも呼ばれることもあるようですが、一般的には柱状改良工法と言いますね。若干材料や施工法が違うという事で、言葉の使い分けをされてる場合もあるようです。弊社では柱状改良工法と呼んでいます。

特徴

  • 地盤全体を強化するため、地盤の深層に問題がある場合に適している。

  • 高い耐震性が確保できるため、地震時の安定性が向上する。

この工法は、岡山県では良く使われる工法です。

鋼管杭工法

鋼管杭工法は、地盤改良の一つで、鋼管を地中に打ち込んで地盤を改良する方法です。支持層まで確実に強い柱を届かせる工法です。費用は割高になる傾向にあります。

特徴

  1. 高い耐久性と強度: 鋼管は耐久性が高く、特に海岸部や湿潤地帯などの腐食性の強い土壌でも優れた耐久性を発揮します。また、鋼管自体の強度も高いため、重い建物や高層ビルに使用するのに適しています。

  2. 施工スピード: 他の杭工法と比較して、施工が比較的早く進むため、工期が短縮できます。特に都市部の密集地など、工期が短くて済むことが求められる場合に有効です。

  3. 深い地盤まで対応可能: 鋼管杭は深い地盤層にまで届くため、地盤が非常に軟弱な場合でも安定した基盤を作ることができます。例えば、地下水位が高い場所や深い軟弱地盤でも対応可能です。

    砕石杭工法

    砕石杭工法は、砕石を使用して地盤を改良する方法で、特に軟弱な地盤や埋立地において効果的な工法です。この工法では、地下に砕石を注入して圧縮し、砕石の間隙を埋めることで地盤の強度を向上させます。

     

  4. 特徴

    1. コストが比較的低い: 砕石杭工法は、使用する材料が比較的安価であるため、コストパフォーマンスが良い工法として知られています。特に予算が限られたプロジェクトで有効です。

    2. 柔軟な施工: 砕石杭工法は、現場の状況に応じて柔軟に施工できるため、複雑な地盤条件でも対応が可能です。また、施工が簡便であるため、工期が比較的短いという利点があります。

    3. 地盤の圧密効果: 砕石が地中で圧縮されることにより、土壌内の水分が排出され、地盤の密度が高くなります。この圧密効果により、土壌が強化され、建物を支える強度が向上します。

    4. 施工の制限: 砕石杭工法は、非常に軟弱な地盤や、深い軟弱層には効果が薄い場合があります。そのため、使用する場面や地盤の状態に応じて適切な選択が必要です。

地盤改良費用の相場

工法別の費用相場

工法別の費用相場ですね。ご注意いただきたいのは、費用が安い方が良いからと言って、安い方にするという事は、出来ない場合もあります。

地盤調査で測定・計算しその結果に基づき工法の候補が上がります。地盤の状態で出来る工法が決まります。

【参考価格】延床30坪程度の木造住宅でのケース

狭小地や道路が狭いなど材料が搬入しにくい場所だと、2倍3倍の価格になることもありますが、おおよそこれくらいの価格だと考えています。

価格が安い工法ほど、地盤の状態が良いので、簡易な改良と思っていただいて良いと思います。

 

■工法名 ■面積・本数の目安

■総額相場

表層改良工法

約50㎡~

約30〜60万円程度

柱状改良工法

鋼管杭工法

約20~30本

約15~25本

約70〜120万円程度

約150〜250万円程度

砕石杭工法 約20~30本 約50〜70万円程度

住宅の敷地面積と費用の関係性

岡山における地盤改良事例

岡山市・倉敷市では、改良無で地耐力が確保できる土地もありますが、改良が必要な場合、柱状改良工事が多いです。次に砕石杭です。

表層改良工法や鋼管杭工法は、ほとんどないです。表層改良工事は私は20年ほど建築業界に居て2回くらいです。そのうち1回は自邸です。

鋼管杭は、1年に1邸ほど見るかなという印象です。

地盤改良の費用を抑える方法

地耐力20KN以上は確保しなさいという規定がありますので、それが出来ない工法は安くても選べません。見積の中で、思案し考える形ですね。

地盤改良で費用をあまり積極的に費用を抑えようと私たちは思いません。信頼できる業者に信頼できる工法でやっていただくのが最優先です。

相見積もりの取得

工程的にも技術的にも、地盤改良に関してお客様個人で相見積を取るにはご負担が大きいです。カスケの家では、相見積を取っています。見積の金額と調査状況を見て、最適な工法の金額を提示しています。他の工務店でも、だいたい相場観をつかんでると思いますので,高ければ交渉し、相場に合わせる努力をするという事になります。現在は、コンクリートや鉄の価格が上昇傾向にあり、高くなってきている印象です。

予算の見直しと計画

金額がオーバーすれば、見直して計画する。一般論はそうですが、地盤改良工事に限っては工法確定のタイミングでの見直しは難しいです。地盤改良費用が確定するのは、調査後、着工前になるケースが多いです。そのタイミングで予算が足らなくなり、間取りや仕様に大きな変更があると、困りますよね。

なので、周辺事例や仮調査である程度予測を立てて、予算を少し多めにとっておく事が大事です。改良不要になれば予算が余るという様にする事をお勧めします。仮プランでの調査や、周辺の調査データでほとんど間違わないのですが、一点でも地盤が悪いポイントがあると改良が必要になるケースもあります。仮プランから、配置や建物の大きさが変わると、再調査になり、測定のポイントがずれて、結果が変わる可能性があります。

補助金・助成金の活用

地盤改良に対する補助金はなさそうですね。子育てグリーン住宅支援事業など新築住宅に対する補助金をもらいましょう。

地盤改良に関するトラブル回避方法

地盤改良のトラブルですが、怖いですよね。地盤が傾くと家が倒れちゃいます。保証が効いてるからと良いという事ではないですが、保証をつければ、保証会社の基準は、少し厳しくなる傾向にあります。保証は費用が掛かるのですがかけた方が良いです。瑕疵保障とは別に地盤保証をつけましょう。

ここからは、現場でのトラブルですが、擁壁などのすぐ近くには、擁壁の底板が邪魔で杭が入らない事があります。それから土を押して擁壁が倒れる心配があるので、柱状改良は、業者に出来ないと断られることもあります。実際倒れている現場も見たことがあります。それと柱状改良が井戸水の水脈まで行くと井戸からセメントの混ざった水が出てくる、割と現場は大変です。土の中は見えないので調査時は分からなかったけど、土の中からコンクリートの橋が出てきたこともあります。調査で分からない事もあるのですが、注意して計画しています。

見積書の確認ポイント

見積書は、費用が予算内に入っている事、それと地盤調査報告書をみて、その判定と見積の内容が食い違いがないかは、見た方が良いです。

施工不良の兆候と対応策

施工不良の兆候として、地面の沈下ひび割れがまず挙げられます。これらは地盤改良に問題がある可能性を示しており、特に建物の基礎部分や外壁に異常が現れることがあります。

対応策

  1. 専門業者への点検依頼:施工後に異常を発見した場合、まずは専門の業者に点検を依頼することが重要です。プロが状況を判断し、適切な対策を提案してくれます。

  2. 信頼できる業者選び:施工不良を防ぐためには、信頼できる業者に依頼することが根本的な解決策です。実績や評判をしっかり確認し、確かな技術を持つ業者を選ぶことが重要です。

お庭のお手入れ等で建物の周りを、見る事があれば、基礎のひび割れ地盤の沈下など気づく事があると思います。早めに気づけば対応の選択肢も増えますし、保証期間内であれば費用の負担も減りますので、少し注意を向けた方が良いかと思います。

地盤改良費用を予算計画に含める重要性

地盤改良費用が予算計画に入っているかというのは、確認した方が良いですね。稀に忘れている会社もあります。エクセルなどのテンプレートを使っている会社が多いので、忘れる事もあると思います。私たちは地盤改良費が入っているテンプレートを使っているので、忘れて0にするという事はないですけどね。そういう会社が多いと思います。安く見せる為に故意にされてると、嫌ですね。

無駄を減らす予算計画

地盤改良の費用を予算に組み込むことで、全体の予算が現実的な範囲で収まります。地盤調査を行った際、改良が必要な場合は、施工前に必要な費用を見積もることができます。

事前に地盤改良にかかる費用を計算しておくことで、予算超過を防ぎ、無理なく他の工事を進めるための調整が可能です。

まとめ

地盤改良って、家の基盤を支える大事な工程なんです。安定して長く住むためには、しっかりとした計画が必要ですよね。家が傾くというと、子供の頃、父に連れられて行った「パピン」っていうひっくり返った喫茶店を思い出します。建物はさかさまに設計されていて、床や椅子、コップがわざと傾けてあって、すごく楽しかったんです。知らない間に、お店はなくなってました。

もし地盤が不安定だと、地盤改良を怠った結果、家も傾いちゃうことがあるんです。昔の家は、地盤改良をしていない家もよくあるので、傾いた家を見たこともあるんですが、家が傾いたらどんな感じと思うとパピンを思い出します。楽しい経験だったけど、家は傾いては楽しめないですね。パピンも楽しかったけど少し気持ち悪くなった記憶もあります。

子供の頃の懐かしい思い出を振り返りながら、地盤改良の大事さを改めて実感します。しっかりとした基盤があれば、長く安心して住める家ができるんですよね。

引用元:ひっくり返った喫茶店 パピン

 

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